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透明(3)

*これは連載小説だよ! 始めから読んでほしいな☆*
 → 透明(1)  透明(2)


***
 彼は私が高校三年の夏に通っていた予備校の講師だった。
 他の講師と比べてとりわけ目立つような存在ではなかったけれど、教え方が丁寧で好印象だったことを覚えている。
 彼に対する私の評価は「この先生の授業、いいな」という、ただそれだけの感情だった筈だ。

 私が大学に入学して少し経った春の日、姉が「結婚したい人がいる」と両親に打ち明けた。
 その時にはもうお互いの気持ちは決まっていて、ただ私の受験が終わるまでは、慌ただしいことは控えておこうと思っていたらしい。
 穏やかで優しくて、他人の気持ちを汲むことに長けていた、姉らしい気遣い。
 私はそんな姉が大好きだったから、その話を聞いて本当に嬉しくて、心から「おめでとう」と祝福したし、自分に「おにいさん」ができることに、胸を弾ませてもいた。
 数日後、姉が恋人を家に連れて来ることになり、母と私は張り切っておもてなし料理を作って姉の帰りを待った。そして姉が連れてきたのが――「彼」だったのだ。
 彼は私を見るなり、「久しぶり、元気だった? 大学進学、おめでとう」と言った。驚いて声が出ない私に「驚かせちゃったね、ごめんね」とも。
 それは予備校の講師だった時とは少し違う印象で、でもまぎれもなくあの夏の教室にいた彼そのもので――私は軽い目眩を覚え、やっと「ありがとうございます」と言うと、そそくさと逃げるようにキッチンに入った。彼と姉は顔を見合わせて笑い、母親は、無言で食器の準備をはじめた私を不思議そうに眺めた。

 朗らかで何事にも丁寧な彼は両親にも好印象だったらしく、その日の食卓では誰もが談笑していた。頭の回転のいい彼は私の両親との会話も上手に運び、姉も幸せそうな笑顔を振りまいている。
 ――まるでドラマを見ているようだと思った。
 いつもと同じ食卓なのに、私だけがテレビの外の世界に放り出されたような感覚に襲われ、私はそうと悟られないように機械的に料理を口に運んでは、笑うべき所で笑い、会話する場面では言葉を口に運んだ。
 でも、それが一体どうしてなのか、その時すぐには分からなかった。

 その日彼は形どおりに両親への挨拶を済ませると姉に送られて帰って行き、私は食器の片付けもそこそこに、自室のベッドに潜り込んだ。
 何かを考えるときは、布団を頭まで被って目を閉じるのが私の癖。ついさっきまでこの家で起こっていたことと頭の中を整理する。
 そして、私は一つの答えに行き着いてしまった。

 ――好きだったんだ。

 予備校に通っていた頃、彼はとても優しく私に接してくれていた。
 元々彼は分け隔て無く優しかったから誰も気付かなかったかもしれないけれど、他の生徒への優しさと、私へのそれは確実に違っていた。ほんのわずか、本人にしか分からないくらいの違い。
 それを敏感に感じ取っていた私は、彼の授業はいつもより真剣に聴き、着実に成績を伸ばした。無意識のうちに彼に褒められたいと思っていたのかもしれない。
 そしてその「特別な優しさ」が、恋人の妹――未来の自分の妹に向けられたものに過ぎなかったのだということを思い知らされた私は、この時はじめて、自分が彼に好意を寄せていたことに気付いたのだった。


*つづく*


***
ちょっと間が空いちゃったけど、続きを書いてみたよ~!!
これは1時間くらいかかっちゃった。


だいぶん恋愛もの風味になってきたぞう。

ていうか、恋愛小説なんて書いたことないことに今更気付くくまっこちゃんです。

でも携帯小説は恋愛ものが人気らしいぞ!

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Appendix

くまっこにっき?

ここは前まで「クマザサ秘密通路」っていうブログだったんだけど、くまっこちゃんが乗っ取りました!
なので、くまっこが日々の恥ずかしいあれやこれやどれやをちまちま載せていく日記になったんだ。
物語とかイラストとか日記とかケーキとか載せていくから、仲良くしてね。

熊についてだよ。

くまっこ

Author:くまっこ
イラストレーターと見せかけて、ただのラクガキ熊。
楽譜の裏と100円ボールペンがお仕事道具。
72色入り298円のクレヨンが宝物。
(よく数えてみたら71色しかなかった。※同じ色が2本入ってた)

くまっこあるばむ。

いまこんなかんじ。

ついったなう。

お手紙ほしいよ!

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ちがうところ。

こんなの聴いてる。

来てくれてありがと。

見てくれてありがと。

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